白内障手術で多焦点眼内レンズをご希望される患者様は毎月数名いらっしゃいます。
もともとの角膜乱視が少ない等の目の条件の良い方は、術後に裸眼で遠方も近方も見えるようになります。
もともとの角膜乱視が強い方はこの眼内レンズを使っても裸眼でクリアな遠方視力が得られないことがあります。その場合はレーシックを追加で行うことで良好な裸眼視力が得られるようになります。
かわもと眼科では多焦点レンズの術後の方も単焦点レンズの術後の方もご希望があればレーシックでの追加矯正に対応しています。
近視矯正手術をご希望の60代の方の右目です。
最近の半年で近視が進んで、レーシックで良くなるなら・・・と来院されました。
白内障による視力低下のようです。
核白内障というタイプの白内障が進行すると極端に近視が進行することがあります。
白内障の程度によっては水晶体内に乱視が生じることがあります。目の大きさ(眼軸長)には左右差はありません。水晶体の変化、白内障の進行による近視度数の変化ですので白内障手術をおすすめしました。
この場合はまず右眼のみ保険診療での白内障手術で単焦点レンズを入れても良いです。
患者様がご興味があれば両眼とも自由診療で多焦点レンズを入れても良いと思います。
かわもと眼科は多焦点眼内レンズの先進医療実施施設の認定を受けました。
生命保険の先進医療特約を利用して医療費用の自己負担を軽減することができます。
医療機器は厚生省に認可・承認されているものと認可・承認されていないものがあります。
いわゆる保険診療で使用出来るのは厚生省に認可・承認されているものです。
認可・承認されているから良いもの・・・認可・承認されていないものは悪いもの・・・とは言い切れません。厚生省に認可されていない海外の医療機器、薬剤はたくさんあります。
そのなかには非常に良いものがありますが、諸事情で日本では販売承認されていないものもあります。レーシックで使用するエキシマレーザーでも海外では一般的に使用されているのに、日本では販売承認されていない機器があります。
先日セミナーに参加したこちらの眼内レンズも日本では正規販売されていないものです。今までの多焦点眼内レンズとは異なるコンセプトで、遠近両用レンズなのに遠くも近くも見えにくい・・・といった症状が起こりにくい眼内レンズです。
レンズの度数も完全にカスタムオーダーです。〇〇さんの右目専用のレンズとか左目専用のレンズという感じでオーダーして使用します。
これまでの既存の眼内レンズを大きく上回る性能ではないと思いますが、選択肢の一つとしては良いものではないかなという印象でした。
カスタムオーダーといっても多少は度数誤差が生じるようです。術後のレーシックでの追加矯正が必要な症例もあるとのことでした。
アベリノ角膜変性症は角膜ジストロフィーとか顆粒状角膜変性と呼ばれる疾患のひとつです。
角膜に濁りが生じる遺伝疾患で、そのほとんどは成人までに発症します。
このような症例の場合はエキシマレーザーでPTK(治療的角膜切除術)を行います。
右目
左目今回の症例は過去に複数回のPTK治療を施術されています。
左目は角膜移植も行われていますが、角膜移植を行ってもアベリノ角膜変性症の遺伝子がなくなるわけではありません。移植した角膜にも混濁が生じています。
紹介状によると5~6年毎にPTKを繰り返し行っています。最近になって再度視力低下してきたためPTK治療のためかわもと眼科を受診されました。
完全に角膜を透明化させることはできませんが、可能な範囲で角膜表面を切除して視力回復に繋げたいものです。
こちらの方は2009年に大阪で両目のレーシックを受けられています。
最近右目が視力低下したとのことでかわもと眼科を受診されました。
左目も視力低下していますが、こちらはこの1~2年間は変化ないそうです。それよりも右目の見づらさが強いそうです。
診察してみると右目に白内障がありました。
ウェーブフロントアナライザーで目の状態を調べてみると、右目の収差が増えており、 白内障がボヤけ、かすみ等の見づらさに影響しているのがわかります。
レーシックを受けたときのカルテのコピーを持参してくださいましたので手術内容を確認してみました。
もともと高度近視だったようです。
同年代のもともと目の良い方と比べると、高度近視の場合には核白内障というタイプの水晶体の混濁が進行しやすいと言われています。
この方の右目も核白内障での視力低下ですので白内障手術の予定になりました。年齢はまだ40代後半ですので遠近両用の多焦点眼内レンズを使う予定になりそうです。
左目は白内障はありませんでした。右目の白内障術後に視力の左右差や左目の見え方に不便があれば、通常とおりのレーシックの追加矯正を行っても良いかもしれません。
かわもと眼科で屈折矯正手術を受けられる患者様には、適応検査のときに手術前の目のデータや手術の方法、術後のすごし方を記載した冊子をお渡ししています。
カウンセリングでお話したことや、これから受ける手術の方法、術後の安静度が記載されています。
手術前の目のデータは将来他のクリニックを受診したときに必要になることがあれば・・・と思ってお渡ししています。
たぶん再手術を他のクリニックで受けられる方は少ないと思いますが、白内障手術等の他の目の手術を受けるときに、なにかプラスになればと思ってお渡ししています。
こちらは角膜内インレーを用いて近くを見えやすくする方法になります。 その原理はシンプルですし、手術手技もシンプルです。
老眼治療の方法もいろいろあります。年をとれば最終的には白内障手術して遠近両用眼内レンズを用いて遠くも近くも見える状態になるのが良いですが、45歳から60歳くらいまでの間の老眼をどう対応するかということです。
老眼鏡で対応するという方が一番多いのでしょうが、メガネが面倒でレーシックを受ける動機になるのと同じように老眼鏡が面倒。。。と考える方もいるはずです。
今のところ角膜内インレーを用いた老眼治療で、片目が少し近くが見えやすくなるという方法が無難なようです。
もちろん全ての方が適応というわけではありません。その方の感覚に合っているとか見え方に違和感がないとか、そういった適性が求められる手術だと思います。
屈折矯正手術でレーシックはよく知られています。
レーシック手術後は遠方視力が改善するものの、老眼のために年齢とともに近方は見えにくくなります。
レーシック手術で老眼に対応する場合はモノビジョン法というものがあります。
あえて片目の矯正を弱めて視力に左右差を作る方法が一般的です。検査のシミュレーションで視力の左右差に慣れない方もいますので、全ての方に適合する方法とは言えません。
そのためレーシック術後の老眼の症状に対しては老眼鏡で対応することが多いです。
最近は老眼の手術治療にもいろいろな方法があります。
Acufocus社のKAMRAは角膜内に薄いフィルムを挿入する角膜内インレーです。
中心のピンホールで遠方と近方の両方が見るようになります。
このKAMRAは片目のみの手術です。KAMRAを入れた方の目は夜間はうす暗く見えるようになります。
これはREVISION OPTICS社の角膜内インレーです。Presbia社のMicrolensというインレーも同じようなものだと思います。
この角膜内インレーはフィルムというよりレンズに近いです。レンズの厚みによって角膜中心の屈折を変化させて近方を見えやすくする方法です。これも片目のみ手術を行う方法です。
これはConductive keratoplasty(CK)と言われる方法です。
角膜にラジオ波で熱を加えることで熱凝固によって角膜のカーブを変化させて近くの視力を改善する方法です。片目のみ手術を行いますが両眼に行うこともできます。
これはINTRACORという方法で、フェムトセカンドレーザーで角膜の中心の角膜実質に同心円状に切開を加え、眼球の内圧で同心円状に切開を加えた部分の角膜のカーブを変化させて近方視を改善する方法です。
いずれの手術方法も近方視力の改善のため、わずかながら遠方の視力や見え方の質に影響があります。片目のみに施術する方法では個人差はありますが視力の左右差に違和感を感じたり、見え方の質の左右差を強く感じる方がいるようです。
角膜内インレーは術後の見え方に馴染めない場合は、それを取り出すことができるのがメリットと言われています。取り出した後は普通に老眼鏡で近方を見ることになります。