これは今年の2月に視力低下で来院された62歳の方のデータです。
右目の視力がかなり低下してます。近視度数の左右差も強いです。
右目は明らかに白内障が進行していました。左目は白内障の進行は軽かったのですが、近視度数の矯正を希望されたので、両目とも白内障手術を行って眼内レンズで近視度数を矯正する予定にしました。
お話を聞くと、他のクリニックで10年くらい前にレーシックを受けているそうです。
角膜形状を調べてみると確かに屈折矯正術後のようです。
角膜にはフラップの痕跡がわずかに認められたので、レーシック既往眼ということが確認出来ました。おそらくレーシック術後に徐々に白内障が進行し、白内障によって水晶体の屈折度数の変化が起こり、近視化してきたのだと推測されます。
レーシックなどの屈折矯正術後の白内障手術では眼内レンズ度数の計算が重要です。屈折矯正術後の眼内レンズの度数の計算には専用の計算式を用います。
レーシックを受ける前の目の状態が不明な場合には、さらに専用の計算式を用いる必要があります。
眼軸長を測定して計算式から使用する眼内レンズ度数を決定します。
白内障手術後に屈折度数の誤差が生じた場合には、レーシックで度数の微調整を行う可能性も考えて。。。そのために角膜厚を測定しておきます。
こちらが今回の白内障手術から3ヶ月後のデータです。
いろいろな計算式から度数を検討して眼内レンズを選択しましたが。。。右目はやや遠視化しています。左目も若干ですが遠視化しています。
白内障手術前の見え方と比べれば日常生活には不便はないものの、全体的にスッキリとは見えないとのこと。。。
もともと手術前から角膜乱視がありましたので、もう少し経過をみてから当院でレーシックを行って、より良い見え方になるように度数調整を行う予定にしています。
白内障手術後のレーシック手術も、レーシック手術後の白内障手術もどちらも可能です。
この症例のように過去のレーシック手術前のデータがなくても白内障手術は可能です。
ただし眼内レンズの度数はしっかり検討する必要があります。しっかり検討しても誤差が生じる可能性はゼロではありません。
やはりこのような症例に出会った時に身近にエキシマレーザーがあると、治療の選択に余裕があるのでホントに便利だと感じます。