角膜形状の異常

レーシックの適応検査では角膜の形状を調べています。

レーシックでは角膜の厚さが大切ですが、角膜の形状も同じように大切です。

適応検査では数種類の角膜の形状を調べる検査を行って、異常の有無や異常の再現性を調べます。

これは正常な上下の対称性の良い角膜形状です。

これは上下の非対称の強い角膜形状です。

円錐角膜の場合にはこのような非対称の強い角膜形状が見られます。

レーシック不適応の条項はいろいろあります。

そのひとつが角膜形状異常(円錐角膜)です。

角膜形状が軽度の非対称性の場合にはラゼックで対応していますが、明らかな円錐角膜形状の場合はラゼックも不可です。

その場合にはフェイキックIOLや角膜内リングでの矯正をおすすめしています。

 

日本眼科学会

東京国際フォーラムで4月5日~4月8日に行われた日本眼科学会に出席してきました。

眼科学会ですのでレーシック等の屈折矯正以外の眼科分野のお話がたくさんあり、いろいろ勉強になりました。

学会に行けば。。。機械展示を見て回ります。展示されているものは国内承認機器に限られますが、実際に手術機械、手術器具に触れることができます。

メーカーの方とお話をしてみると。。。医療機器や薬剤が厚生省から認可されるスピードは以前に比べると少しずつ早くなってきているようです。

厚生省に認可されていなくても自費診療で使用することは可能ですから、レーシックの機器でも性能が良ければ未承認機器を導入するクリニックはたくさんあります。導入するクリニックが多ければメーカーは厚生省に承認申請をしてくれます。承認を受けるにはデータ提出等の面倒なことや必要経費がいろいろありますから、ある程度の販売利益を見込めないと承認申請なんてしてくれません。

10年くらい前と比べると・・・眼科に限らず医療の進歩は素晴らしいです。良い医療と分かっていても国の財政の制約で国内に導入されない機器や薬剤はたくさんあります。これからの将来に医療財政が良くなっていくことは考えにくいので、きっと自費診療で行われる医療はもっと増えていくのだろうと思います。

そんな時代の学会や機械展示はもっと楽しくて勉強できる内容になっていると思います。

 

過矯正と低矯正の境界

適応検査で “術後に過矯正にはしないでくださいね!”って言われることがあります。

もちろん意図的にはそんなことしません。

適性な矯正度数を目指して手術しているものの、意図せずとも一定割合で低矯正や過矯正が発生してしまうもの。。。それが屈折矯正手術だと思います。

ほとんどの症例は1回の手術で十分な満足が得られるので、“短時間で視力回復できるレーシックは良い”と言っていただけるのだと思います。

しかしある程度の症例数の手術を行えば、再手術による微調整を必要とする症例に出会います。快適に感じる術後の屈折度数は個人差があるとは思いますが、一定割合で低矯正も過矯正も発生してしまいますので、再手術で微調整を行っています。

再手術が全く行われないクリニックがあったとすれば・・・それは症例数が異常に少ないとか、かなり症例を限定して行う等のなんらかの理由があるのだと思います。

 

以前。。。その昔、あるクリニックの過矯正が問題になったことがありました。週刊誌に掲載されるほどでした。そこは年間に数万症例の手術を行うクリニックで経過の良い症例が大多数でした。

しかし一定割合で低矯正も過矯正も発生していますので・・・もともとの症例数が多いと・・・一定割合でそれなりの数の低矯正と過矯正が発生しています。その時はなぜか過矯正だけが強調されて週刊誌に掲載されたと。。。掲載内容は好意的な文章ではなかっと思います。

 

屈折矯正手術の安全度は高くなりましたが。。。残念ながら100%初回手術で完全な満足度を得られる手術にはなっていません。

数%ですが追加矯正(再手術)での微調整が必要になる場合があります。

そのため追加矯正を必ず行うことが出来る方を初回手術の適応としています。

フェイキックIOL

近視度数の強い症例が増えてくると・・・人工レンズの導入も検討したくなります。

フェイキックIOLという術式です。

角膜は削らずに度数矯正が出来るので、高度近視・乱視でレーシックやラゼックだと残存する角膜厚が不足する症例に適した良い術式です。

しかし・・・手術費用はレーシック・ラゼックと比較すると高額です。

導入コストと手術コストを考えると。。。仮にかわもと眼科でこの術式を導入した場合には・・・50~60万円くらいの価格設定になりそうです。

かわもと眼科で行っている遠近両用の多焦点眼内レンズがそれくらいの価格設定ですので・・・きっと同じくらいのコストがかかると思います。

“都市部でフェイキックIOLの手術を受けて術後検診をかわもと眼科で”・・・という場合でも対応致します。

お気軽にお問い合わせください。

 

ラゼックの術後経過

ラゼックはフラップを作成せずに、角膜上皮を剥離しエキシマレーザー照射して屈折矯正を行う方法です。

角膜上皮の修復が徐々に行われ、視力が徐々に回復していきます。

①手術翌日は角膜上皮がありません。

②4日目には上皮修復してきますが、一時的にかすみは強くなります。

③1週間くらい経過すると角膜上皮はかなり修復します。

④2週間くらい経過すると角膜上皮がかなりキレイになります。

 視力も日常生活には不便のない状態になります。

 

ラゼックの術後はこのように徐々に角膜上皮が回復していきます。

回復途中の角膜上皮を保護するために約1週間程度は保護用のソフトコンタクトレンズを装用したままお過ごしいただきます。

ある程度角膜上皮が回復するまでの3~4日間は痛みが続きます。また1週間程度は視力回復に時間がかかります。

そのため術後の日常生活には多少は支障がでます。数日はお仕事は控えていただいた方が良い場合があります。

結膜下出血

レーシック術後に白目が赤くなる場合があります。

これは結膜下出血と言ってフラップ作成時に眼球を圧迫することが原因です。

印象としては目の幅が狭い人に起こりやすい・・・気がします。。。

 

かなり重症な印象ですが・・・術後経過としては全く問題ありません。

数日~2週間程度で自然吸収されていきます。

申し訳ないことですが術後に結膜下出血が生じた場合は自然に消えるのをお待ち下さい。

涙点プラグ

 レーシック術後の症状で“ドライアイ”があります。

ほとんどの症例は人工涙液の点眼で症状は緩和されます。

症状の強いドライアイに対しては“涙点プラグ”を使用します。

涙点プラグはドライアイに対する症状軽減のためのアイテムです。

先端形状はこのような形です。

目頭の涙点を塞ぐことによって、目の表面の涙の量が増えるようにします。

この涙点プラグを使用すると・・・劇的に症状が改善する方がいますが、全く効果がない方もいます。。。

目の表面の涙の量が増えるだけでは“乾燥感覚”が解消するわけではないようです。

日本のレーシックの昔と今

ひと昔・・・15~20年くらい前、1990年代に近視を矯正する手術は・・・今から考えたらそれなりにリスクを伴う手術だったんだと思います。

当時の日本はまだまだこの分野の普及は遅れていて、一部の先進的な眼科医が試行錯誤しながら地道に手術していた時代。。。または一部の”眼科以外の先生”が商業的に取り組み始めた時代です。

一部の患者様は裸眼視力の向上を夢にみて海外に飛び出していた時代だと思います。

当時屈折矯正手術はRK、AKといって、メスで角膜を切開して近視や乱視の度数を矯正するものでした。当然ですが手術結果は不安定で、結果の良い人は一定の割合でいたとは思いますが、結果の悪い人も相当割合いたんだと思います。手術費用は100万円オーバーが当たり前の時代だったと思います。

その後はPRKが登場します。ただしエキシマレーザー照射で角膜を削るだけで術後の視機能はあまり考えられていません。眼球追尾システムなんて機能もありません。当然ですが術後グレアハローは強く、多少の照射ズレは当たり前くらいの時代もあったと思います。

そしてついにレーシックが日本上陸です。初期のフラップ作成はマイクロケラトームです。刃物で機械的に角膜表面を薄く切る機械です。作動不良も時々はあったと思います。初期のRK、AKでの矯正手術からエキシマレーザーでの矯正手術に徐々に移行していく時期です。PRKなら70~80万円、レーシックなら100万円くらいの値段だったと思います。

 

2000年を過ぎたあたりでケラトームの精度やエキシマレーザーの精度がだんだん良くなります。フラップ作成トラブルが少なくなり、エキシマレーザーに眼球追尾システムが装備されるようになり照射精度が良くなります。グレアハローを軽減する視機能を考慮した照射が行われるようになります。さらにレーザーでフラップ作成を行うフェムトセカンドレーザー時代が到来します。この頃のレーシック費用は50~60万円くらいだったと思います。

2004年の品川近視クリニック登場からレーシック費用がグッと安くなります。レーシック費用が20万円くらいが当たり前の時代になります。この時期から”安全にレーシックを当たり前に受ける時代”・・・になったと思います。レーシックは安全に正確に行われるようになり、さらにはレーシック以外の矯正方法が行われるようになりました。

現在では角膜の厚さの安全基準、角膜形状の安全基準がある程度整備されています。高度近視や円錐角膜はフェイキックIOLや角膜リング、クロスリンキング等の術式が行われ、レーシック以外の術式が行われるようになり、日本の屈折矯正手術の充実度、安全度のレベルはかなり高くなったと思います。

レーシック以外の手術はまだまだ高価なものもありますが、海外に行かなくても安全で比較的安価にレーシックを行える日本はホントに良い国だと思います。

レーシックを受ける理由

レーシックを受ける理由、きっかけって・・・いろいろあると思います。

レーシックとコンタクトレンズの費用を比較して・・・そんな話はいろんなクリニックのホームページに載っています。現在のレーシック価格を考えると約3~5年でコンタクトレンズ代金を回収できる計算です。

そもそもコンタクトレンズに不便を感じていなければレーシックという選択肢すら考えないと思います。

災害時にコンタクトレンズは不便です・・・震災等でメガネ等を失ったときに裸眼で見えないと困ります・・・という理由で手術を受けに来られる方もいらっしゃいます。

 

そんなことは皆さんご存じで、”レーシックという手術がやっぱり信用ならん”とか、”やっぱり手術は怖い” ・・・という理由でコンタクトレンズを使い続けているのだと思います。

 

もちろんレーシックを知らないという方はいらっしゃると思いますが。。。レーシックを知っている、または周りでレーシックを受けた人がいるのに、自分はまだレーシックに踏み切れないと言われる方はたくさんいらっしゃると思います。

 

ちなみに・・・私がレーシックを受けたのは、”近視は目の良い人に比べて不利だから”という理由です。

ネガネ・コンタクトレンズ等で矯正しないと見えないのはやっぱり不利です。

もしも神様から” また明日からメガネ・コンタクトの生活してね!” って言われたら・・・かなり面倒クサイです。。。たぶんまたレーシック受けに行きます。。。

朝晩のレンズの付け外しの時間、レンズを買いに行く時間、出張・旅先にネガネ・コンタクトレンズを持っていく手間等々。。。裸眼で運転も出来ないですし。。。

目の良い人はこの時間と手間を気にしなくていい・・・それを手術でチャラに出来るならさっさと手術を受けようって思いました。

 

きっと私がレーシックを受けた頃よりも厳密には精度、安全度は上がっていると思います。

もちろん当時も安全だと解って受けていますが、当時と比べると時代の進化、症例数の増加によって手術結果も洗練されてきていると思います。

”手術が心配” ”手術で得られるメリット”  いろんな価値観があると思います。

PTK

PTKとはPhototherapeutic Keratectomy=治療的角膜切除術と言います。

疾病による角膜混濁がある場合には、その混濁の除去を目的としたエキシマレーザー照射となりますのでPTKと言います。アベリノ角膜変性、顆粒状角膜変性、帯状角膜変性等の疾患やラゼック術後のヘイズの除去にもPTKは用いられます。

手術手技は・・・PRKやラゼックとほとんど同様です。角膜表面の混濁をレーザーで除去するだけなのでシンプルです。

切除範囲と切除量をどの程度行うか・・・症例によって混濁の原因、程度はそれぞれ異なります。照射データの入力値はいろいろ検討が必要です。

症例によっては混濁除去と屈折矯正を同時に行います。

帯状角膜変性の場合では・・・(瞳孔の下半分を覆う混濁です)

術直後の写真ですが、これくらいの透明度に改善します。

もちろん病状(混濁の程度や他の目の病気の有無)によって視力回復の程度は異なりますが、角膜の混濁が解消することでの視機能の改善の効果は大きいと思います。

 

山口県内にエキシマレーザーを設置している施設はかわもと眼科しかありません。

症例数はそれほど多くはありませんが、エキシマレーザーを用いて角膜混濁の治療が必要な患者様にご来院いただいています。