QSV 20121229

2012年12月29日 土曜日 by かわもと眼科院長

かわもと眼科は今日が仕事納めです。

 

今朝の日本経済新聞(日経)の一面に,福島原発事故の政府検証委員を務められた畑村洋太郎氏のインタビュー記事が掲載されていました。「(日本国民よ)『思い込み』から抜け出せ」と題された記事でした。その中で,「原発問題にしろ財政問題にしろ,日本国民は狭い視野の中でしか思考出来なくなっている」と述べられておられます。私はこの記事を読んでいて,「この人はなんとおめでたいのだろう」と思いました。視野が狭いのは,日本国民ではなく,世にいう「専門家」とよばれる怪しい集団なのはずです。原発問題にしろ財政・経済問題にしろ,過ちを正されるべきは「専門家」たちです。畑村氏自身も東京大学教授を歴任された専門家ですが,責められるべきは,ご自身なのだという意識がかけらもみられません。

私の「専門」は眼科医療です。眼科に限らず医療を取り巻く環境は年ごとに厳しくなっています。そのためさまざまな「専門家」が様々な議論を展開し,「彼らが悪い!政治が悪い!行政が悪い!」とまぁ,賑やかです。しかし責められるべきは我々「専門家」のはずです。そしてそこから議論を始めなければ現在の複雑・多様な諸問題は決して解決されません。確かに専門家ではない人たちにも問題があるでしょう。理不尽な現実もあるでしょう。しかし「(マックス・ヴェーバーにならえば)それでもなお!(den noch)」という,責任と信念がなければ今現在と将来の困難の壁を超えていくことはできません。その責任と信念こそが専門家に求められる資質です。

畑村氏の記事からはそうした信念や資質を垣間みることが出来ませんでした。

 

QSV: Quest for Super Vision(究極の見え方の追求)

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